かかとのガサガサやひび割れの原因と治し方

かかとがガサガサでストッキングが伝線したり、素足で寝るとシーツの素材によっては引っかかったり、ひどくなるとひび割れて痛んだり…。

空気が乾燥する冬はかかとのガサガサに悩む人が多くなりますが、実は素足で過ごす夏も含めて、一年中かかとのガサガサに悩んでいる人が意外に多いんです。

今回はかかとがガサガサになる原因や、つるつるになる対処法をご紹介します。

なぜかかとはガサガサになるのでしょうか?

■乾燥と油分不足

足の裏には皮脂腺がないため水分が逃げやすく最も乾燥しやすい場所といわれています。

そもそも皮膚のうるおいは、皮脂腺から分泌される皮脂が皮脂膜を作って保たれます。

皮脂腺のない足の裏やかかとは、オイルやクリームなど皮脂に代わるものを補わなければ、どんどん乾燥してしまうのです。

■ターンオーバーの乱れによる古い角質の蓄積

ターンオーバーの乱れによる角質肥厚

乾燥が進むとターンオーバーが乱れ、古い角質は剥がれ落ちずに蓄積され、分厚く硬くなります。これが「角質肥厚」で、角質肥厚になったかかとは触るとガチガチに硬く、ガサガサでうるおいが全くありません。

また、顔の皮膚のターンオーバーサイクルが28日ほどなのに対し、かかとはターンオーバーに120日間かかるといわれます。

これだけ遅いと他の部位より角質は溜まりがちになり、これに乾燥が加わると角質層はさらに厚くなり、「角化」の状態になります。そして、ここまで行くとひび割れによる亀裂が発生し、痛みや出血を伴うことがあります。

■圧や摩擦などの刺激

かかとには全体重の圧がかかっており、立ったり、座ったり、歩いたり、走ったりと常に刺激を受けています。ヒールの高い靴を履く機会の多い女性は、かかとにより圧がかかりやすいともいわれます。

圧や摩擦などの刺激を受けると、刺激から皮膚を守ろうとして皮膚は厚くなります。他の部位より、かかとの皮膚が厚いのはそのためです。この積み重ねで、かかとはどんどん厚く硬くなります。

■冷えによる血行不良

手足の末端は血流が滞りやすい場所です。入浴や暖房の利いた部屋で、身体は温まっても手足はすぐに冷えてしまい、冷たいままという人も多いものです。漢方的な考え方では、かかとのガサガサは身体のうるおい不足と、冷えからくる血行不良が原因といわれます。

軟らかくつるつるのかかとを取り戻すには

一度ガサガサになってしまったかかとを短期で元に戻すのは至難の業です。

分厚くなった角質層は、クリームやオイルなどの保湿成分が浸透しにくくなっています。

一生懸命ケアをして、比較的短期間で「ずいぶん軟らかくつるつるしてきた」と感じても、油断してケアを怠ると、すぐにまたガサガサかかとに戻ってしまうのです。

ケアには根気強さが要求され、良くなったとしても予防的なケアは続けた方がよいでしょう。

■かかとケアのタイミングはお風呂のあと

お風呂に浸かり皮膚が十分温まって皮膚が軟らかくなった時がケアのグッドタイミング。角質層内の水分不足を補うためにクリームを塗り水分と油分を補充しましょう。

入浴後は肌が乾燥しやすいので、素早くケアを行わなければなりません。

時間の余裕がある時は、クリームを塗った後にラップでくるんでしばらく置くラップパックや、蒸しタオルを当てて温めるとクリームの浸透が高まります。

■軽石やリムーバーで硬くなった角質を取り除く(削り過ぎはNG)

古く厚い角質を軽石やリムーバーで丁寧に薄く削り取り、そのあとオイルやクリームでマッサージや保湿をしましょう。

回数は多くても週に1回程度、それ以上は皮膚に負担をかけるので控えましょう。

また、角質を必要以上に削らないよう気をつけましょう。

角質には皮膚を保護する役割があるので、必要以上に削ってしまうと、防御反応からさらに角質が厚く硬くなり、逆効果になることがあります。

そのうえ皮膚を傷つけ、歩くたびに痛みが伴ったり、雑菌が繁殖して別の皮膚トラブルの原因にもなりますから、角質除去は慎重に行うことが重要です。

最近は皮膚表面の古い角質だけを取り除くリムーバーもあります。

■綿や絹など自然素材の靴下を履いて寝る

角質取りをした後にオイルやクリームなどでケアしたら、綿やシルクなど自然素材の靴下を履いて寝ると保湿効果がいっそう高まります。

最近は、かかとをつるつるにすることを目的に開発された素材の靴下もあります。また就寝時の靴下が苦手な人は、かかとだけを保護する靴下もあるので利用しましょう。

■靴を見直す

かかとへの負担を減らすためにヒールの高い靴はできるだけ避け、クッション性が高く、履いていて楽な靴を選びましょう。

また自分のサイズにぴったり合うものを選びましょう。

小さすぎると足が圧迫され、逆に大きすぎると靴の中で足が動いて摩擦が起きます。いずれもかかとを刺激し、角質肥厚の原因になります。

かかとケアに注目の保湿成分

①ワセリン 

ワセリンは皮膚に薄い膜を作り、水分の蒸発を防いでくれる保湿剤です。

入浴後、身体を拭く前にかかとにすりこむと、より保湿効果が高まり乾燥を防ぐことができます。

ワセリンは比較的硬く粘性があるので、厚く塗ることができ、荒れたかかとを乾燥からしっかりと保護します。

ワセリンは精製度によって色が異なり、白いほど精製度が高く良質です。

高純度になるほど不純物が取り除かれているので、肌への刺激が少なく、赤ちゃんからお使いいただけます。

さらに、良質のワセリンに皮膚の修復効果の高いキダチアロエエキスを練りこんだ軟膏タイプの製品は、荒れたかかとを乾燥から守りながら傷んだ皮膚を修復します。

②尿素配合のクリーム 

尿素は水分と油分の両方を補充でき、硬い角質を柔らかくします。

かかとの荒れがひどい場合は、尿素の配合割合が20%ぐらいの製品を選ぶと効果を実感しやすいかもしれません。

また尿素単体のクリームのほかに、尿素と他の成分が配合されたものもあります。例えば「トコフェロール酢酸エステル」は血行を改善し新陳代謝を高めますし、「グリチルリチン酸二カリウム」は皮膚の炎症を抑えます。

③ビタミンE配合のクリーム 

ビタミンEは皮膚の血行促進や角質肥厚を予防し、ターンオーバーを正常にもどします。高い保湿力があり、ひび割れのケアにも使われます。

④馬油

馬のたてがみの下部からとった油です。お風呂上がりにかかとのマッサージや保湿に使うと、硬くなった皮膚を柔軟に保ちます。

不純物を除去した精製度の高い良質な馬油を選べば、臭いやべたつきも気になりません。

保湿ケアをしても改善されないのは「かかと水虫」⁉

さまざまなケアを行ってもかかとのガサガサが改善されない場合は、白癬菌による「かかと水虫」かもしれません。

水虫と言うとウズウズしてかゆいというイメージですが、角質増殖型の水虫はかゆみを伴わないため、気付かないうちにかかとで増殖して角質が厚くなっていることもあるのです。

一般的なかかとの荒れとあまり区別がつかないため、気付かないうちに水虫を悪化させてしまうこともあります。

長くケアしているのに一向にガサガサが治らないという方は、皮膚科に相談してみてはいかがでしょう。

まとめ

足の裏は皮脂腺がなく、とても乾燥しやすい場所であること。乾燥が進むとターンオーバーが乱れて古い角質がたまり厚く硬くなること。常に体重の圧がかかり、刺激を受けやすいことなどが、かかとガサガサの原因であることがわかりました。

かかとを乾燥から守るためには、お風呂上りにマッサージで血行を良くしてから、クリームやオイルでしっかりと保湿することがとても重要になってきます。

既にかかとガサガサでお悩みの方は、上記のようなケアに加えて、綿や絹など自然素材の靴下を履いて寝ると、保湿効果が高まり回復が早まります。

しかし多少良くなったからとケアを止めてしまうと、すぐにガサガサかかとに戻ってしまいます。

予防的な考えからも、つるつるかかとを目指すなら根気よくかかとケアを続けましょう。